自分も常にカラッとしていたいと思わずにはいられない

カッコイイねぇ
私的順位はこの二巻が1番好きで、次いで一巻、そして三巻となる。

面白い。

読んだ後は、男に生まれたなら、自分も常にカラッとしていたいと思わずにはいられない。

ちょうど、アクション映画を観た後に肩で風切って歩きたくなる感じと似てます。

それがコレ読むと「気風良く生きたくなる」になるんです。

登場人物が皆カッコイイですからね。

男性はもちろんですが、あえて女性にこそ読んで欲しいシリーズです。

新渡戸稲造曰く、「武士道とは何も男に限った事ではない」そうですから。

浅田次郎の真骨頂。

珠玉という言葉はこの作品集にこそふさわしい
物語を紡ぐ職人、浅田次郎の真骨頂。

不思議なリズムを持った小気味良いべらんめぇ口調が、脳内に残響を残しつつ幾度となくリフレインする。

これは現代の講談だ。

ご幼少のみぎりに公園で飴玉につられて見た紙芝居だ。

現代の作家で、この手の人情話を書かせたら浅田次郎の右に出る者はいない、と断言してしまおう。

一時、泣かせのテクニックが安直に陥ってしまい、作為的で嫌味すら感じたこともあったのだが、この作品群では見事に復活を果たしている。

実に華麗な寸止めぶりである。

空手十段の達人が放った寸止めがごとき荒業。

顔に身体に鋭い風圧を感じさせながらも、まぎれもない寸止めなのである。

ご存知無い方のために説明するが、「天切り」とは天井を切って侵入する泥棒手法のこと。

実際に瓦などをはがし、鋸、ノミ他の七つ道具を手に天井を切って侵入するのである。

泥棒手法の中でも、最高に華麗な荒業なのだ。

その天切りの使い手だった松蔵。

人呼んで「天切り松」。

ちゃちな犯罪者が横行する現代に蘇った旧弊の大泥棒が、警視総監から大臣にまで請われて、犯罪防止と称し、泥棒話法の「闇がたり」を駆使して語る往時の大浪漫なのだ。

前作のメンバーが顔を揃える。

振袖おこんは相変わらず良いなぁ。

前作の山県有朋から盗んだ金時計の話も良かったけど、こちらも勝るとも劣らない(花と錨)。

他にも目細の安吉、黄不動の栄治、などなどオールスターキャスト。

小政の登場する「残侠」「切れ緒の草鞋」(前後編)、目細の親分が登場する「目細の安吉」、百面相の書生常の「百面相の恋」、待ってました振袖おこんの「花と錨」、黄不動の栄治の「黄不動見参」、そして松蔵自身の「星の契り」「春のかたみに」の全8話が収録されている。

どれもこれも粋でいなせな奴らが活き活きと描かれている。

もうため息が出るほどだ。

珠玉という言葉は、この作品集にこそふさわしい。

天切り松 闇がたり 2 残侠浅田 次郎


posted by nana at 23:09 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

神様からひと言から注目している作家

面白い!
この作者の本来の持っているユーモアがあふれる1冊『犬猫語完全翻訳機』『正直メール』はとにかく面白かったあーこんな話にもっていくんだと半ば感心電車の中でおもわずニンマリって顔になってしまう本です7編集でしたがすべて納得のおもしろさでした息抜きにもってこい
神様からひと言から注目している作家の短編集。

それなりに面白い。

会社でクールビズが始まり、若い子との何かを(笑)期待して、23万もするジャケット含め30万位で新調した服を買って会社に行ったちょうど私くらいのサラリーマンの悲哀。

一軒家で庭で色々な菜園を育てている旦那が単身赴任の奥さんと、その隣で柿やイチジクや菊を育てている一人暮らしのおじいさんとの戦い。

脱サラして占い師養成学校に行き、開業したはいいが、全然儲からないため、一念発起して今までとは違うアプローチで大成功しかかる小心者の占い師の話市のいじめ相談室に勤める女性が、あまりに人気が出てしまい、そのいじめ相談室の中でいじめに会う話犬と猫の本音が人間の言葉で聞こえるようになる機械が開発され、そのモニターとなった人たちのおもしろおかしい動物とのふれあい。

指を使わず声だけでメールが送れる様になった、最新の携帯電話でいろんなトラブルが起こった話(もちろん誤変換のなせる技)阪神ファンの彼氏を巨人ファンのお父さんに紹介し、結婚の承諾をもらおうとしている一家のドタバタ…すべて「くすっ」と笑いながら読める息抜きには最適の本。

どれもありそうな話で臨場感もあった。

萩原流ユーモアワールド全開の短編集
本書は、’06年5月号から’07年12月号までの『オール讀物』に不定期で掲載された7つの短編からなっており、はじめから一冊の本になることを前提に書かれた短編集だそうである。

カジュアル・フライデーにとまどう中年の中間管理職「ちょいな人々」、隣家の庭木を憎むガーデニングにハマる主婦「ガーデンウォーズ」、脱サラした占い師の顛末「占い師の悪運」、いじめ問題に真っ向から立ち向かう主婦相談員「いじめ電話相談室」、ペットの本音を聞いて思わずたじろぐ飼い主たち「犬猫語完全翻訳機」、新型の携帯電話の機能が皮肉な結果をもたらす「正直メール」、熱狂的な阪神ファンの恋人が巨人ファンの父親のところに結婚の許しをもらうために訪れる「くたばれ、タイガース」。

ブームに翻弄される、どこにでもいそうな人たちを、ちょっと変に、面白おかしく描いた7つのお話が小気味よくつながり、抱腹絶倒間違いなしである。

また、軽妙な文体で語られながらも、すべてのお話のここかしこにちりばめられた、こまかい正確なそれぞれの分野の専門用語やその内容、薀蓄からメールのギャル言葉にいたるまで、きちんとした取材や下調べをした結果であり、また萩原浩の趣味や得意な分野でもあるのだろう。

それらのバックグラウンドがしっかりしている分、物語に一層現実感や臨場感がもたらされ、知らない間に登場する人々に感情移入して笑ってしまうのである。

作品ごとに異なるジャンルを開拓している幅広い“ひきだし”を持った萩原浩だが、本書はデビュー作『オロロ畑でつかまえて』の原点に帰ったような、たっぷり笑える萩原流ユーモアワールド全開の短編集である。

ちょいな人々荻原 浩
posted by nana at 04:12 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

48歳の姿には違和感があるが、この作家らしい作品

とっても、リアル
とってもリアルで何とも、いえない小説だ。

熱海温泉、ヌード撮影会など時代がかっているが、人間の方はそれほど進化していない部分もあるのかもしれない。

唯一分からないのが、メフィストフェレスに例えられている曽我法介。

彼は一体何者であったのか。

何故、西村耕太郎の秘密を知っていたのか。

わざと謎解きをしていないのかもしれないが、中途半端な扱いである。

48歳の姿には違和感があるが、この作家らしい作品
石川達三の作品を読むといつも、人生の先輩というか、神の視点から諭されているように感じてしまう。

それが嫌いだったり、古くさい、説教臭いと感じる人も多いだろうが、個人的には一度は手に取ってみるべき作家だと思う。

本作品では老年にさしかかった主人公が、今までの平凡な人生から一歩踏み出そうという葛藤が描かれている。

会社でこそ次長の立場にある主人公も、家庭においては妻子には相手にされないという典型的なオヤジである。

しかもいまさらのように若い娘との恋愛にワクワクする一方、娘の恋愛・結婚問題に過敏になる二面性に気づいてその矛盾とも暗闘している。

全体にゲーテ「ファウスト」を案内役としているが、、いろいろな個性の人物が登場し、案内されるままに飲屋街を彷徨う辺りは、それが近場の温泉街であっても、幻想的な雰囲気すらする。

逡巡と内省を繰り返し、外部にも翻弄されながら、最後の落としどころとしてはこの作家らしいと思える。

そこがまたこの作家の限界として好き嫌いの分かれるところかもしれない。

ところで本書には違和感というか不満がある。

「四十八歳」と言う主人公の枯れ具合である。

現在の同じ年齢ではこれほど枯れていないのではないかと思うからだ。

それは時代がもたらした幼稚化なのだろうか。

喜ぶべきなのか、憂うべきなのか、石川達三に聞いてみたいところだ。



四十八歳の抵抗 (新潮文庫)石川 達三
posted by nana at 05:52 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。