寝た後で値打ちが分かった

現実の蛇は筋ばって固い
『蛇を踏む』です。
薄い短編集です。出版社の内容紹介です。
『藪で、蛇を踏んだ。「踏まれたので仕方ありません」と声がして、蛇は女になった。「あなたのお母さんよ」と、部屋で料理を作って待っていた…。若い女性の自立と孤独を描いた芥川賞受賞作「蛇を踏む」。“消える家族”と“縮む家族”の縁組を通して、現代の家庭を寓意的に描く「消える」。ほか「惜夜記」を収録。』

三作ともきちんとしたストーリーの筋がある作品ではなく、寓意的とあるように、カフカや安部公房のような一見して「何やこれワケワカラン」という傾向の作品です。
あとがきにて作者自身が「これは、うそばなし、です」と述べているように、現実と虚構がどべどべぬめぬめに混ざり合っています。所々、混ざる前の残滓のような物がみそ汁の具のようにぷっかりと浮いていて、「ああ、これは、こういうことを風刺したのかな」とも思えたりもするのですが、じゃあそこから何かの展開や結論があるわけでもなく、やがて煮込みすぎたジャガイモのようにどろどろに溶けてどこかへ見失ってしまいます。
たぶん、見た目で元の形を解析しようとしたらダメなのでしょう。
ジャガイモっぽいものとタマネギっぽいものと、あと何かが混ざり合って全体として不思議な味わいのスープになっているなー、と感覚的に味わってさっと飲み下して終わり、とすべきなのでしょう。

内容はともかく、文章はカフカや安部公房みたいながちがちに固いものではなく、それこそ冒頭の蛇のように、ぐにゃぐにゃぶよぶよとした柔らかさを持っています。本も薄いですから、そういう意味では読みやすいといえます。
これは物語の筋を追って楽しむための小説ではなく、まさに作者のやわらかい文章によって紡がれた独特の世界観に溺れるものなのでしょう。
これを読んで楽しむには、読者の実力……というよりも素質のようなものが必要とされそうです。芥川賞選考委員の間でさえも賛否両論だったくらいのようですから。ということで評価は★3です。


寝た後で値打ちが分かった
私は福島次郎さんが大好きなんで、福島次郎さんの『バスタオル』を負かして芥川賞を取った『蛇を踏む』は是非とも読んでみたいと前々から思っていました。芥川賞を取ったにも拘らず、図書館では書庫に眠っていました。そういうものかと思いながら読みました。
読んだ感想は「つまんね?」でした。なんでこんななにが言いたいんだかさっぱり分からん文章の上手いだけの話が芥川賞取ったんだか、『バスタオル』のほうが数倍良いぞ、選考委員の宮本輝の「私はまったく評価していなかったので、最初の投票で委員の多くがこの作品を推したときには驚いてしまった。」「蛇が人間と化して喋ったりすることに、私は文学的幻想を感じない。」、及び石原慎太郎の「私は最後まで「蛇を踏む」の受賞に反対意見を述べた。寓話はしょせん寓話でしかないと私は思っている。」「私には全く評価出来ない。蛇がいったい何のメタファなのかさっぱりわからない。」「こんな代物が歴史ある文学賞を受けてしまうというところにも、今日の日本文学の衰弱がうかがえるとしかいいようがない。」に大きく頷きたい気持ちでした。
ところが、その本を読んですぐに寝て、その晩はとてもシュールな夢を見たのです。人間が蛇みたいになってしゅーしゅーと窓から建物に入っていく。幻想的で美しく、心に残る夢でした。なんであんな夢を見たのだろうと思ったら、前の晩に『蛇を踏む』を読んだから、と思い当たり、結構すごい本だったのかもしれないと考えたしだいです。

ぬ?っとする。
ジェットセットな東京ライフにどっぷりつかり
なんでも手っ取り早く消化することに慣れきった私ははじめ
なんか肩すかしをくらい続けてるような居心地の悪さ。
「ででで、結局なにが言いたいの?」みたいな
もどかしさにどうしてもあわてて読んでしまう。

でも何扁か読み進めていくうちに
そのテの結論?はこの本にはないってのがわかってきて
そうするとこの
のらりくらりぼわわわんとした感覚が
みょ?に心地よくなってくる。

そしてそのうち
その詩のよーな夢のよーな世界の
期待しない方向から「意味」がやってくる。
あ、こんなふうな感覚ってあたしもなんか知ってるなあ、とか
あれってのはこういうことだったのかも!?
みたいな感じであたしの中に落ちてくる。(腑に落ちてくる?)

梶井基次郎とか福永武彦(池澤夏樹のお父さん)みたいな
ちょっと昔の文学作品に似ていないこともないんだけど
もっと脱力で曖昧で
それが中途半端を意味しないところが彼女独特のものなのかも。

ああ、あこがれるよそーゆうの。
だからぬ?っとここちよかったです。

蛇を踏む (文春文庫)
川上 弘美
チャムス
タグ:川上 弘美
posted by nana at 15:58 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

暗い予兆が胸を覆うのだ

死をめぐる6つのストーリー
表紙のインパクトに圧倒されますが、中身もダイナミックでインパクトがあります。
「死」がキーワードとなって振り回されていく人間模様に読み応えがあって最後まで読破しました。
ドラマチックで人間愛と人間臭さが滲んでおもいんですが、心温まるような「愛情」が重なって見えるようで面白かったです。

車谷さんは心有る稀有な作家です。
 車谷さんの本はほとんど読んで、どれも血肉を尽くされた見事なものだと知っていますが、中でもこの作品集は白眉です。特に『古墳の話』、ぐっときます。
 強姦されて殺された高校時代の思い人の少女のために、書き手は涙を流して祝詞を奉げます。古墳が好きだった少女と、そんな彼女と古墳をひっくるめて好きだった書き手。
 古墳の中には彼女がいます。彼女はもう不死の人です。

これぞ文学
これぞ小説。これぞ純文学。
どんでん返しなどはありはしない。不幸な予兆はさいごまて消えることはない。読後感もこれまた重い。
死にそうな人間は死んでいく。不幸な人間はどこまでも不幸。
人はなんのために生きるのだろうか。
ユーモアのかけらもなく、淡々とした文章がよりリアルに不幸を描く。
流行りの、若々しい書き手のものとは対極にあるといえる。
読みたくない、と思う人も多いだろう。作者名として「車谷長吉」の名前を見つけたときから、暗い予兆が胸を覆うのだ。
それでも、この人の小説は読まなければならないのである。

忌中 (文春文庫)
車谷 長吉

レインブーツ
タグ:車谷 長吉
posted by nana at 16:48 | 話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

あったかい優しさなのがたまりません

声が聞こえるから寂しくない
おばあちゃんが亡くなった時から不思議な声が聞こえることになった主人公。
声は八百万(やおろず、とおばあちゃん曰く)の神々の声。

こんな感じなら本当に辛いけど(うるさくて)物を大事にするよな……と思わせられます。
なんだろう、皆美形とは書いていないのに血が通ったような温かさがあるような。

一番のオススメはトイレの神ですが。
……こんなんじゃ大なんて出来ない!

癒し本です☆
 イースト・プレスのネット小説、書籍化シリーズ第二弾です。
 表紙買いでしたが、これは当りでした!

 たくさんの神様達と、それが見える主人公“スミカ”のどたばたコメディです★
 キャラ一人一人がとても個性が強いのにそれが全然うるさくなくて、むしろ凄く楽しい!
 文章だけでもキャラ達の可愛さがにじみ出てるのに、この小説の世界観にバッチリ合うイラストでさらにキャラの可愛さが引き立ってます!!
 
 私は結構「いい子」のヒロインが嫌いです。少年・少女漫画でもゲームでも“明るく、チョット天然な優しい子”がお馴染みなので、出てくるたびに「あ?・・・またキレイ事言ってるよ・・・」と冷めた感覚でしか見られない奴です・・・。
 それなのにどうしてでしょう・・・スミカの優しさがまったく鼻に付きません。
 スミカが神様達のためにイロイロ動いてそれが叶った後、こっちまで素直に「うんうん、よかったぁ・・・」と凄く嬉しい気分になります。

 この本を読んでて楽しくて、ほんのりして終始にやけっぱなしでした。
 この一冊でちゃんと完結してて、満足のいく終わり方でしたが、これからも続けられそうな終わり方とお話なので、続編が出たら買っちゃうんだろうなーっと思います。
 後、一つ注意なのが、スミカ自身恋愛はしません。神様達にチョロッと恋愛はありますが、恋愛要素は凄く薄いですので、購入しようと思ってた人でそういったのを期待されてる方は注意ですが、それが気にならないぐらい面白いですよ◎
 オススメです!!


ネット読者も買いです。
元々ネットの方でも読んでいましたが、書下ろしが大量と聞いては、
買わずにはいられませんでした。
この作者の持ち味は、シリアスと笑いを絶妙なバランスで配置して、
最後には、ほっこりと温かな気持ちにしてくれるところですが、
書籍化されてもその良さが全く失われずに発揮されています。
思わず泣いて、思わず笑ってしまう。
そして、何と言っても、登場人物がみんなこころが優しい。
表面的・夢物語的な優しさではなく、現実にもありそうな、
あったかい優しさなのがたまりません。
ライトノベルにありがちな美形大量生産には、真っ向から対立してます。
そこがまた、リアルで良い。

ネット読者にも楽しく、初めて読む読者にも楽しい民俗学っぽい一冊。
(うっかりフィクションをリアルと覚えないよう、ご注意を)

やおろず
古戸マチコ

グッチ バッグ
タグ:古戸マチコ
posted by nana at 15:01 | 話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ファンタジーの要素などかけらもない日常の風景

膨大な写真が単行本とはまた違った味わいを醸し出している
番号のついた送電線の鉄塔を、
81番から1番まで逆に辿ってゆく、ただそれだけの話。

ファンタジーの要素などかけらもない日常の風景、
「鉄塔」を主役に据え、ゴールが見えている冒険を扱いながら
かくも私たちの中の「少年」を揺さぶられる手腕は
(女性の方すみません)見事と言う他ない。

正直鉄塔のディテールを81本分読み続けるのは
一種の苦痛である。しかし今だから下らない、と言える
何かに拘った事のない人はいないのではないだろうか??
大人顔負けの知識と、未成熟な自我とのアンバランス、
その青さが瑞々しい。

このソフトバンク版は、単行本とラストが違う文庫版の本文に
作者が本来は挿入したかった写真を全て収録した完全版。
ファンタジー色が廃されたラストの味わいと、
膨大な写真が単行本とはまた違った味わいを醸し出している。


私たちの中の「少年」を揺さぶられる
番号のついた送電線の鉄塔を、
81番から1番まで逆に辿ってゆく、ただそれだけの話。

ファンタジーの要素などかけらもない日常の風景、
「鉄塔」を主役に据え、ゴールが見えている冒険を扱いながら
かくも私たちの中の「少年」を揺さぶられる手腕は
(女性の方すみません)見事と言う他ない。

正直鉄塔のディテールを81本分読み続けるのは
一種の苦痛である。しかし今だから下らない、と言える
何かに拘った事のない人はいないのではないだろうか??
大人顔負けの知識と、未成熟な自我とのアンバランス、
その青さが瑞々しい。

ただ、「日本ファンタジー大賞」にふさわしいラストの処理に関しては
賛否両論はあろう。私はあまり拘らないが。

鉄塔おたくの存在を知らしめた本ですが
読み始めて、おおと思いました。
鉄塔おたくなんているとさえ思ってなかったですから。
しかし、すぐに退屈になってしまった。延々と鉄塔を辿るだけで、大した事件が起きるわけでもない。
小学生時代にこんなことがあったな、くらいにしか感じることができなかった。
でも、無理に話を大きくせず、あくまでも鉄塔を辿ることだけに注力しているのは、どこか
爽やかさも感じさせてくれた。
ラストはどう考えてもありえない。
でも、ファンタジーノベル大賞だから、いいのではないでしょうか。

鉄塔 武蔵野線 (ソフトバンク文庫 キ 1-1)
銀林みのる

マックスファクター
タグ:銀林みのる
posted by nana at 23:04 | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

そこはかとない幸福感をほんの少し手にした気分

知らずにほぐされる快感?川上マジック
私がたまたま読んだ順がそうなのか、ここのところの川上作品は夫婦モノが多い。
なので独身の私は読み始めて「またか…」と思ってしまいました。最後まで読みきれるのか?とも。
元カレの母親のサークルに誘われ、ユニークな人たちと集い、惑わされる主人公の様子にも少々苛立ちました。

私はもう川上作品を求めていない。

そんな苛立ちが、いつの間にか主人公の義妹や義母への苛立ちとリンクし、突発的な出来事で思い知らされる家族の存在、その中で相変わらず逡巡し、解き放ち、開き直り、やがてふりだし(日常)へ戻る…その時、私の心もほぐされていました。

知らないうちに私も仕事や、友人、家族…瑣末なことで迷い固まっていたのだと思います。

いつもと同じ、変わらぬ毎日を送る尊さをそっと教えられた日曜の午後。
心もほぐれ、そこはかとない幸福感をほんの少し手にした気分です。

実際に人と触れ合うということ
インターネット時代の今や、ケータイ小説やテレビのゴールデンのドラマでも
ネットでのつながりや出会いを取りあげたものが出てきた今だからこそ、
人と人が直に会って触れ合う大切さを教えてくれた作品です。
そこには「ちゃんと人と触れ合いましょう」なんてもちろん書かれてなく、
むしろ書かれてあるのは家族間や会社での面倒臭い人間関係ばかり。
そんな面倒臭い人間関係を少しでも簡素に、シンプルにしたいと
思っている主人公ですが、核となる問題を話し合うのはそんな面倒臭い
人間関係を一緒に作っている旦那や姑でなく、「これでよろしくて」同好会の
メンバー。
人間、逃げたらダメだとか、真正面から向き合わなければならない、と
分かっていても、山の中に居ればその山の大きさが分からないように、
何のしがらみもない人との会話や触れ合いから、答えを見つけたりするものです。

現在ではインターネット上で顔も分からない人に自分のリアルな悩み相談をする人が
多いと思うが、この小説の中に出てくる会は、実際に会った人たちと一緒に
とっても抽象的な問題について語り合う会。
「これでよろしくて」同好会、どこかで本当に開催されているのならば、
私も遠くから駆けつけて参加してみたいです。

まぁ、よろしかったですよ
日常なんて、なんてことはない日々の繰り返しなんだと思う
でも、人は誰かと「声を出して話したい」という小さな願望ってのは常にあるように思う
どうでもいい話、くだらない話、進歩のない話、他愛のない会話というもの
なんだかわかんないけど、誰かと話したいと思うのは人として普通の欲のひとつなんだと思う
じやなければ、ツイッターもあそこまで受け入れられなかったはず(笑)
あまり深く考えず、求めず、自然に読んでいける話でした
誰かと会話したくなった時、読んでみてはどうでしょうか?
「うそをつく理由」これは、自己弁護として時々我が身の心の奥底で使っては自分をなだめています(笑)

これでよろしくて?
川上 弘美

エトロ バッグ
タグ:川上 弘美
posted by nana at 22:20 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

最後まで気になる展開

珠玉の8篇
日常のありふれた風景や、失われつつある風景、見たことのない風景。
いろんな風景がつまった一冊です。
一遍一遍に心動かされますが、評することばがなんとか見つかる四篇について書きます。
すごい名作を読むとことばが見つからないものです。それくらいよかったです。

『モノレールねこ』
猫の首輪に他愛ないコメントを紙に書いてはさむと、猫が相手に運んでくれる。
そんな文通をサトルとタカキは続けますが、文面や、
モノレールねこというネーミングも、その猫が手紙を運ぶというのも、ひたすら牧歌的です。

『ポトスの樹』
九割は、語り手による父親への愚痴ですが、ラストでどんでんがえしがあります。
結果オーライの短編。

『ちょうちょう』
ラーメン店を開店した店長と、店員たちの人間模様や谷あり山ありのドラマ。
悪い客に、ネットで中傷記事を書かれてしまい、客足が遠のいていくというハプニングがあり、最後まで気になる展開です。短編ですが、ラーメンでいえば、麺はコシが強いこってり系です。

『バルタン最後の日』
バルタンとなづけられたザリガニの視点で、ひと家族の事情やいろんな思いが語られます。
教科書に載せるか、宮崎駿監督あたりにアニメ化して欲しい名短編です。

著者の魅力を一度に。
本書の著者、加納朋子さんの魅力とは何か。
それは日常のなかでの些細な謎と、人々の暖かさと、それを見出す優しい著者の視線だと思います。

本書はその作者の魅力をいっぺに味わえる作品。
著者の作品をはじめて読む人に、最初に薦めたいと感じる作品でした。

どの話も本当に泣ける。3ページ進むごとにホロリ……というのは大げさかも知れませんが、それくらいの感動はありました。

さて。加納さんの作品が初めてだという人に、本書を薦めたいのは、「感動」以外にも理由があります。

それは、作中の「シンデレラのお城」です。

読んだ方なら分かると思いますが、他の短編とは明らかに趣が異なり、ほんのりダークな作品となっています。ですが、この雰囲気も加納さんの魅力の一つには違いないのです。人が背負っているものは優しさだけではありません。当然、暗い部分も背負っています。当然です。それをふまえた上での、「優しさ」に感動があるのです。ただ「暖かい」「優しい」だけでは感動できないんですよ。
ある意味、人間くさい傲慢さ、計算がなくては「感動」にはならないんです。

余談ですが、「シンデレラのお城」はどこか『コッペリア』にも似たダークさを感じました。

では、どうぞお手にとって表紙を開いてくださいな@

上手な作品はあまたあるが、心がいやされた作品
上手な作家さん、すばらしい作品はあまたある。元気な時にはそういう作品を読もう。
この本はそれほど期待していなかったが、読んでいるうちにすーっと心の中に入り込んで、じわじわと心をいやしてくれる。
自分が忘れていたこと、知らずに傷付き、傷付けていた親子関係。さりげない筆致の中に、人と人の摩擦や隠されていた秘密、ダメ人間の弱さと素晴らしさを気づかせてくれる。
思わずわーっと泣き伏し、許しを請いたい衝動に駆られて、時々本を置き、胸の内をそっとなでまわしてみる。
疲れて気が弱くなっているような、そんなときにこの本を読んでみてください。

モノレールねこ (文春文庫)
加納 朋子

キャディーバッグ
タグ:加納 朋子
posted by nana at 20:11 | 話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

不確定な未来と確固たる信念

リストラ請負会社に勤める主人公。人の運命を左右する立場にあり、どんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、自らのスタンスを貫き通しやり遂げていく。 不確定な未来において生き抜いていくためには、確固たる信念に基づいて手を抜かずに取り組んでいくしかないのでしょう。

「でもね、やりたい仕事をやっているのなら、ある程度は我慢できると思うのよ。たとえ出世できなくても、きつい労働条件に置かれても、自分自身で納得できる部分はある。自分のやっていることに誇りみたいなものを持つことは出来るんじゃないかな」

もうひとつ深く探求することを期待する
人の人生を左右する仕事

そんな重いテーマとは裏腹に今風のノリでオムニバス形式で
どんどんと進んで行くあっというまに読めちゃう作品。
面白いけど、表層的。軽くて楽しいけど、印象に残りづらい。
ドラマ化するにはちょうどいい。

読むからには面白かった以外に何か残したいんです。
残った印象は、アジア料理と彼女の肢体なのは、ちょっと悲しい。

次作に期待。

でも読みやすいから次もよも。


主人公にホレます
20?30代を描いた男性作家の作品は、女性目線から見るとあまり魅力的でない男性主人公が多いのですが…。素直に好きですね、この主人公。
「リストラの肩たたき代行者」という設定そのものも興味深いのですが、恋愛ものとして楽しめました。というのもやはり仕事に取り組む主人公のプロフェッショナルな仕事ぶりに惹かれるからでしょう。
リストラ対象となる社員の仕事ぶり、職歴や性格、心理など細かに分析しながら業務を進めるわけですが、その調子で恋人の行動や心の動きの分析もするのだから細かい。とはいっても、陰湿な分析ではありませんよ。優しさに溢れています。
恋愛小説以上に女性の心を見てくれるこの主人公には、ホレます。

君たちに明日はない (新潮文庫)
垣根 涼介

ジューシークチュール
タグ:垣根 涼介
posted by nana at 20:43 | 生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

否定から始まる世界

“匂い”を持った文章。
浮き世の底辺で生きる男と女の底なしの闇へと向かう恋ー。
映画を見た方、映画以上にハマるのではないでしょうか。
監督がこの原作に惚れ込むのも納得、雰囲気だけでない真の暗さを持った小説。
車谷さんは現代人の小説には珍しい“匂い”を持った文体の書き手だと思います。
冒頭の一文からぐっと引込まれます。

否定から始まる世界
どこにいってもよそ者だと感じてしまうが故、中途半端に適応するより、徹底して不適応者となることを選ぶ。作者のスタート地点は、強烈な「否定」の感情である。それをどこまでもひとりでやり遂げようとする。その姿勢にまず惹きつけられた。

浮浪者寸前まで自らを突き落とし、社会の底辺に蠢く人々の怨念を文学にまで昇華させる。言葉を生むということの過酷さを身を持って示し、その言葉は人を感動させ同時に叩きのめす。
道徳や正義というもののをあっけなく一刀両断し、 表層的な楽観主義を拒絶し、徹底的に絶望することでしか掴み得ない僅かな救いを這いずりながら探ろうとする。
生きるということに対しこれほどまでに真摯になってしまうと、その先にあるのはこのような苦悩であり、 そうであるからこそ、その傷跡である言葉は、誰の言葉も拒絶する者の心に届く力を持つ。

文庫表紙となっている蓮の花は、泥の中でこそ咲くことができる。
作者もまた、泥にまみれることでしか生きられぬ業を背負うことで、類稀なる美を垣間見させてくれる。
書くということの悪を自覚した上で、書くことの本質を突き付けてくる。

最後まで陰鬱な暗雲を感じさせるが、その根底に流れるものは、仏教的無常観であり、宗教的救いを求めてうろたえる一匹の虫けらであることを自覚した男のしぶとさである。

生きることにも死ぬことにも意味も救いもない、だからこそ書かざるを得ない、痛々しくも生々しいリアリティを感じる。


人生を捨てた男の再生の物語り
昔の尼崎辺りの猥雑で暴力的な雰囲気がよく出ていると思った。もちろん、今はそんなことありませんから誤解なきよう^^;
大衆文学というよりは私小説といった雰囲気で、なんだか身につまされる話。そこを抑えてきっちりと、しかも自己主張することなく描ききったのは作者の言葉に対する執念だろうか。読み終えていろいろなことを考えさせられた一冊でした。

赤目四十八瀧心中未遂
車谷長吉

イルビゾンテ
タグ:車谷長吉
posted by nana at 16:52 | 生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

賛否両論ありますが

夫婦ってみんなこんななんじゃ・・・
賛否両論ありますが、わたしはすきです。
夫婦ってみんなふたを開ければこんなものなのでは、
ウチだけかしら?
嫌いだけど、好きで、離れたいと思っても、
離れられない。
絆としかいいようのない目に見えないものでむすばれて
いるのではないかな。
わたしは、銀色さんの深い深いメッセージを勝手に
受け取りました。


草食系だって、食われているばっかりじゃない(笑)
ライオンはカモシカを追跡し倒し食べる。だからと言って、ライオンはカモシカを軽侮しない。知恵と体力と技巧を尽くした死闘のすえ、ようやく腹に入ってくれたカモシカに対し、ライオンは多大の敬意と、さらには愛情さえ感じているに違いない。

この物語を読んで、こんなイメージが頭に浮かんだ。

肉食系女子に「食い散らかされっぱなし」に見える草食系男子。確かにバンビのようにビクビク、オドオド、キョドってばっかしの彼の姿は実にオカシイ。本書は全体に「怖わおかしい」というテイストの物語なのだが、草食系男子の視点で描かれた肉食系女子がこれまた、誠に誠にコワイのである(笑)。

だが、草食系だって食われる一方ではない。そこがまた、微妙に面白い。

そもそも肉食獣は、草食獣がいなくては生きていけないのだから。

好き嫌い分かれる作品(ミタカシリーズ好きならいける)
軽ーく読めます。腹痛でトイレにこもっているあいだに読み終わりました。(結構長時間。笑)
最後が笑えた。銀色夏生さんの笑いが好きな人や、ミタカくんが好きな人は好きかも。
主人公の奥さんは最近の肉食女子にワガママ・鬼がプラスされた愛すべき鬼嫁でした。

僕のとてもわがままな奥さん (幻冬舎文庫)
銀色 夏生
タグ:銀色 夏生
posted by nana at 23:23 | 話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サビも覚えやすいし超ポジティブ

こちらも最高でした先に初回限定盤を手に入れていたのですが、どうしても「トビラ」が聞きたくて、通常盤も購入することにしました。

ジャケットもかっこいいし、「トビラ」も素敵な歌なので、購入して良かったと思いました。

カッコイイ!イントロがヤバい。

カッコ良すぎ! サビも覚えやすいし超ポジティブ 相変わらず100+サンの歌詞は爽快ですね!嵐の魅力が詰まった一枚嵐のシングルを初めて買ったのは「Believe/曇りのち快晴」が初めてです。

「Believe」は嵐のメンバーの素晴らしい歌唱力と櫻井翔君の「サクラップ」がとてもマッチしていて何度聴いても耳に残ります。

 「曇りのち快晴」は大野君のソロ曲ということで大野君の歌を丸々一曲聴けます。

このシングルを買って嵐ファンになりました。

今年デビュー10周年を迎えた嵐がどんな活躍をするのか楽しみです。

Believe│曇りのち、快晴【通常盤】

エルメス バーキン
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posted by nana at 20:29 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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