完成度の高いアランフェス

村治佳織のViva!Rodrigo
2度目のアランフェス

村治佳織2度目の録音です。DVDなどを除いてということですが、以前の録音もよかったのですが、今回、思うところがあったのでしょうか。7年ぶりの録音になります。ロドリーゴ一家と交流が深まるにつれて、おそらく前の録音に不満を覚えたのかも知れないと勝手に想像するのですが、今回はロドリーゴ最初のギター協奏曲である「アランフェス」に始まり、最後のギター協奏曲となった「ある宴のための協奏曲」で締めくくるという意味深な内容。共演のオーケストラは名前も知らないガリシア交響楽団なのですが、この楽団の音の深みが美しく「へぇ?」と思わせるところがところどころにあります。まさにスペインを感じる一枚に仕上がっていて、これは村治佳織の狙いだったのかもしれませんね。余談ですがデジパックのジャケットが大変に綺麗です。

録音に難あり?

 録音の質について,少々首を捻りたくなる部分がある。ややデッド気味だが,楽器の音をしっかりと拾っており,見晴らしは良い。しかし,アタック感やダイナミックレンジの点で「?」と感じる部分がある。また,各楽器の大きさ,配置,距離感など,いわゆる音場の構築については,残念ながら見晴らしが良いとは言えないように思う。

 しっくりとこない理由は,各楽器が一つところにギュッと詰め込まれているように感じられるからだろう。また,音像から受ける印象が,実際の楽器の大きさよりもかなり大きく感じられる部分がある。録音なのだから等倍にはならないが,等比関係にあって欲しい。このせいで,えらく大きな楽器が狭い場所にひしめき合っているような印象を与え,息苦しく感じる。

 もちろん,全てがおかしいとは言わない。が,盛り上がる部分というのは,ほとんどこの状態になっており,これが鬱陶しいこと甚だしい。編集には細心の注意を払ってもらいたい。

完成度の高いアランフェス

村治がアランフェス協奏曲を録音するのは三回目である。一回目は99年のCDでオケは新日本フィルハーモニー。村治の演奏はテクニックにつたないところも聴かれるが、若々しい勢いがある。二回目は01年のDVD「コントラステス」で、オケはマドリッド州立交響楽団。一楽章と二楽章は99年よりやや遅めのテンポをとり、ギターは無難な演奏、オケは二楽章の聴かせどころで破綻している。今回の演奏は、テンポは01年に近い演奏だが、一楽章の冒頭と二楽章のカデンツアに村治の熟達を感じる。かつての名演奏といわれたイエペスのアランフェスより総合的に協奏曲としての完成度の高さがある。(迫力と重厚感ではイエペスのギターにはかなわないが)新解釈なのだろうか、一楽章でスタカートしないで弾くところが気になる。(ギターもオケも)初めて聴く「ある宴ののための協奏曲」は、ギターがテクニック的に難しい。すぐに覚えられる旋律がなく、速いスケールが多用されている。初演をまかされた名手ペペ・ロメロが「難しい」ともらしたそうなので、村治の演奏が弾くだけでやっとに聴こえるのも仕方ないか。山下和仁の演奏で聴いてみたいものだ。10月27日に村治のコンサートを聴いてきた。プログラムにバッハのリュート組曲一番(全曲)とシャコンヌ(BWV1004より)があった。シャコンヌは弟奏一氏のバイオリン譜によった編曲と違い、効果的に和音を用いた編曲(セゴビア的)であった。切れのよい分散和音(アルペジオ)が印象に残った。佳織嬢は、今後バッハの作品に取り組んでいくとコメントしていたので、CDになるのが今から楽しみである。

Viva!Rodrigo

ダコタのレイジーシリーズ
タグ:村治佳織
posted by nana at 22:51 | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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