底意地の悪さに本人は気が付かない

女性の悪意と芯の強さを表した作品
明るく華やかで無邪気な明子、けれどその無邪気さの中には、他の女性と比べて自分が幸せで恵まれていて、誰よりも美しいという優越感があります。

その底意地の悪さに本人は気が付かない。

一方、ねじれた家庭に育ち、その後も運が悪く、本当は美しい顔立ちなのに表情が暗くなってしまった清子。

ずっと淡々と生きてきたのに、昔の同級生だった明子が突然幸せいっぱいの姿で現れる。

しかも彼女を”助けてさしあげよう”として。

そのくったくのない無神経さに清子の中の何かがプツンと切れてしまう。

1人の男を奪い合う二人は、結局その男を愛したのではなくて、相手を苦しめ、引きずりおろしたかった、それだけのために憎みあったのだと思います。

けれど最後には二人ともその愚かしさに気が付いて、嫉妬、ねたみ、そねみ、憎しみ、他人の思惑、そんなものから自由になることができます。

間に立った男は、ハンサムでお金持ちで優しくて絵に描いたようないい男だけれど、結局は二人の間で右往左往するだけで、自分の母親にもさからえない優柔不断な男だった。

まだまだ封建的で女性の立場が弱く、一方的に我慢を強いられた時代。

そんな中で二人が境遇に押しつぶされたり負けたりせずに、最後には物事の本質を見通してまっすぐに生きるようになります。

女性のこわさ、悪意、強さがよく描けた作品だと思います。

作者はその活躍や作風からキワモノのように思われがちですが、なかなか物事の本質をついた作品を書いていると思います。

一見おふざけのようなエッセイでも、作者のまっすぐで誠実な所がチラチラとほの見えます。

ポルノとして読むのもありだと思いますが(この作品は違いますが)それだけですませてしまうのにはもったいない作家だと思います。

大正という時代。


いままで、もし自分が現世に生きていなければ、絶対に大正時代に生まれたいと思っていました。

漠然と、キラキラした華やかなものを思い浮かべていましたが、そんなにいいものではないですね。

一夫多妻制のような生活は、私には無理です。

常に主人公・明子と清子のどちらかだったらと想定して読み進めましたが、結局どちらにもなりたいと思えませんでしたし、どちらの方が良かったのかも分かりませんでした。

途中は「勝った」「負けた」と、競うような展開でしたが、最後は二人ともそれぞれの幸せを手に入れた終わり方で、希望がもてました。

岩井志麻子さんの作品と言うことで、かなり気を入れて読み始めましたが、これは万人に受け入れられる、さわやかな作品です。

女のラベル
はじめ、この本を手に取ったときは「岩井志麻子」ホラーを期待して。

私の思っていたホラー作品ではなかったけれど、いい意味で期待を裏切られて良かったなあという読後感でした。

(でも男の人が読むとホラーかも)世間が勝手に自分につけてしまうラベル、世間だけでなく個々の人が自分に勝手に付けるラベル、自分自身で付ける(付けたい)ラベルは幸福にも一致する人と一致しない人がいる。

この世間のラベルをはずして自分のラベルだけを堂々と付けられるようになるのって難しいかな?自由恋愛 (中公文庫)岩井志麻子

リップグロス


タグ:岩井志麻子
posted by nana at 19:48 | 話題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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